ボイラーの選び方

ご家庭や建物のボイラー選びは、セントラルヒーティングシステムにおける温度の最適性や暖房費に大きく影響します。本購入ガイドでは、暖房する面、温水の必要性、利用可能な燃料の種類など、ボイラー選びで考慮すべき重要ポイントをご紹介いたします。

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  • 最適なボイラーの選び方

    ボイラーを選ぶ際には、ご自身がどの程度の暖房を必要としているのか、またボイラーにどのようなオプション機能がついているのかを理解しておくことが、コストやエネルギーの節約につながります。 まずは、ボイラーシステムを設置するのに十分なスペースと、それに対応したコンセントがあるかどうかを確認しましょう。 また、後で予想よりも高い請求額にならないように、各システムの設置費用とランニングコストを比較しておきましょう。 お客様が十分な情報を得た上で最適な選択ができるよう、いくつかの重要ポイントを以下にご紹介いたします。

    • エネルギー源
    • 種類
    • 設置
    • 容量(出力)
    • エネルギー効率
    • オプション機能とトレンド
  • ボイラーに適したエネルギー源の選び方について

     HARGASSNER社製 ペレットボイラー

    HARGASSNER社製 ペレットボイラー

    ボイラーのエネルギー源は、価格や暖房する空間の容積、また入手が可能かどうか、設置しやすいか、地域の規制に準拠しているかどうかなどで決まります。 まずは、ご自宅の換気口が選んだボイラーの種類に対応しているか、またボイラーを設置するための十分なスペースがあるかどうかを必ずチェックしましょう。

    • 天然ガスボイラーは、石油や石炭のような他の非再生可能エネルギー源に比べて排出量が少ないです。 ガス栓がすでにある場合は、既存のガスボイラーをより高性能なものに交換したほうが効率的でしょう。 だたし、設置コストが高くつくことがあり、ランニングコストもその地域の燃料価格の変動によって変わるのでご注意ください。
    • バイオマスボイラーは、丸太などの木材やウッドチップ、ペレットなどの再生可能エネルギー源である燃料を燃焼します。 お住いの地域で豊富で手頃な燃料が購入できるのであれば、環境保護に貢献できる理想的な手段といえるでしょう。 ただし、バイオマスボイラーは、かなりのスペースとメンテナンス、初期費用などが必要となるのでご注意ください。
    • 電気ボイラーは効率が高く、一般的に最も安価で設置しやすいです。 しかし、ランニングコストや環境への影響は、地域の電力価格や発電方法に左右されます。電気ボイラーは、オフグリッドで自家発電している場合や、他のシステムに必要なコンセントが不足している場合に有利だといえるでしょう。
    • ハイブリッドボイラーは、他の熱源やエネルギーと併用できるように設計されており、エネルギー効率の最適化やコスト削減のために、それらを自動的に切り替えることができます。 例えば、ガスボイラーを、ヒートポンプや太陽熱暖房システムなどの再生可能な暖房システムと組み合わせることができます。 ただしハイブリッド式は、エネルギー使用量やランニングコストを低く抑えられる反面、他のボイラーに比べると大きなスペースを必要とし、また設置コストも高くつくことが多いです。
  • 種類について

    ご自宅や建物に使用するボイラーを選ぶ際には、まずは、さまざまなタイプがあることを知っておくことが重要です。各タイプにはそれぞれ利点があり、敷地面積、温水の需要、設置条件などの要因によって考慮すべき点が異なります。ここでは、暖房システムで一般的に見られる暖房専用ボイラー、湯沸し器付きボイラー(コンビボイラー)、システムボイラーなど、さまざまな種類のボイラーについてご説明いたします。

     WOLF社製 湯沸し器付きボイラー

    WOLF社製 湯沸し器付きボイラー

    • 暖房専用ボイラーは、従来型ボイラーとも呼ばれ、家庭用温水を製造・貯蔵するための別個のタンクと、主給水に接続された別個の冷水貯蔵タンクを備えています。 このシステムはかなりのスペースを必要とするため、より大きな物件に適しています。
    • 湯沸し器付きボイラーは、家庭用温水器を内蔵し、オンデマンドで温水を生成するので、別途で貯湯タンクを必要としません。 これによって、よりコンパクトに、またより設置しやすくなっています。 ただし、小規模な物件には理想的ですが、消費量が多い場合は温水の需要が満たせない場合があります。
    • システムボイラーは、湯沸し器付きボイラーと機能は似ていますが、別途で貯湯タンクが付いています。 また、従来のボイラーに比べて加熱回路が加圧式であるため、スペースをあまりとりませんし、設置もしやすいです。 家庭用温水の需要が高い大規模な物件に向いています。
  • 設置について

     VAILLANT社製 壁取付け式ボイラー

    VAILLANT社製 壁取付け式ボイラー

    どの設置タイプのボイラーを選ぶかは、どのタイプ、どの容量のシステムを選ぶかによって違ってきます。 多くのボイラーは、コーナーにも設置しやすいよう長方形の形をしていますが、一般的には、壁取付け式と床置き式の2タイプがあります。 壁取付け式ボイラーは、限られたスペースや湯沸し器付きボイラーなどの小型システムに最適です。 床置き式ボイラーは、広いスペースに適しています。また、既存の床置き式ボイラーを交換する際にもお勧めです。すべての配管を配置しなおさなくてもよくなるので、費用が節約できます。

  • 容量(出力)について

    エネルギーを効率よく使って暖房需要を満たすためには、適切な容量(出力)のボイラーを選ぶことがとても重要です。ボイラーの容量は通常、キロワット(KW)または英国熱量単位(BTU)で測定されます。これは物理的な寸法ではなく、必要な出力を意味します。お客様の物件に適したボイラーの容量を選ぶには、まずラジエーター(放熱器)やバスルームがいくつあるのかを確認しましょう。一般的に、ラジエーターやバスルームの数が多ければ多いほど、高いKW(またはBTU)が必要となります。この点に関しては、暖房の専門家に相談したり、またはオンラインの容量計算機を利用するなどして、きちんと確認しておきましょう。ボイラーの容量が大きすぎると、エネルギーの浪費と非効率を招いてしまい、また小さすぎても、暖房需要を満たせずに、快適に過ごせなくなってしまいます。

  • エネルギー効率について

     ELCO社製 湯沸し器付きボイラー

    ELCO社製 湯沸し器付きボイラー

    古いボイラーをお使いの場合、よりエネルギー効率の高いモデルにアップグレードすることで、暖房費を大幅に削減することができます。 最近のボイラーには、排気煙道から熱を回収するコンデンシングボイラー(凝縮式ボイラー)など、さまざまな省エネ機能が組み込まれています。

    熱効率を最大限に高めるには、建物の断熱を十分に行い、暖房システムの流下温度を必要以上に高く設定しないことが重要です。 従来のボイラーシステムは通常、60~85℃程度の流水温度で運転します。

    低温ボイラー(LTHボイラー)は消費エネルギーが少なく、通常35~55℃の範囲で作動します。しかし、高温の暖房システムと同レベルの快適性を得るためには、表面積の大きい低温ラジエーターや床暖房が必要になることがあります。

    ボイラーを比較する際には、出力(KW/BTU)やエネルギー効率のパーセンテージなどを確認して、その性能を判断するようにしましょう。 さらに、米国のエネルギースター・プログラムのような評判の高い認証を受けているかどうか、EUのエネルギーラベルの尺度で評価されているかなど、環境にやさしいかどうかも確認するとよいでしょう。 なお、EUのエネルギーラベルの尺度は、消費者が新しい適合基準をよりよく比較できるよう、2021年に、A~Gに変更されました。

  • オプション機能とトレンドについて

     BAXI社製 20%水素混合ボイラー

    BAXI社製 20%水素混合ボイラー

    世界各国の政府が「ネットゼロ」達成に務め、持続可能な燃料源を模索している中、自国の規制について常に最新情報を得ておくことはとても大事なことです。段階的に廃止され、より環境に優しい代替品に置き換えられるボイラーも今後現れるでしょう。
    現在、新たなトレンドのひとつとして、天然ガスや水素ガス、あるいはその混合ガスで稼働する「水素対応ボイラー」の開発が進んでいます。将来、天然ガスがよりクリーンな燃料源である水素に徐々に取って代わられても、このボイラーがあれば、エネルギー転換がスムーズに行えるでしょう。

    このように、ボイラー技術の進歩や再生可能エネルギーの統合、エネルギー効率の改善について、常に最新情報を得ることが重要です。このような動向を常に把握することで、最新の業界標準に沿った、より持続可能で費用対効果の高い暖房システムを、正確な情報に基づいた上で選び、ご自宅などに導入することが可能となります。

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